本研究では,地震災害時における複数の社会基盤が同時に被災した状況を対象に,産業部門間の交通量や道路混雑への影響を評価するための分析アプローチについて基礎的な検討を行う。特に,各種社会基盤の局所的な被害影響を評価する方法として,小さな空間スケールで整備された経済統計(小地域統計データ)の利用に着目し,必要となるデータ処理手法を含めた分析手法を検討する。具体的には,企業の生産活動を対象に,電力,水道,ガスの供給停止の影響に関する調査結果と交通工学で用いられる経路選択モデルを活用した影響評価方法を検討し,2004年新潟県中越地震の社会基盤被害状況を対象としたケーススタディを通して分析手法の適用性や今後の課題について考察する。