抄録
東北電力株式会社女川原子力発電所は東北地方太平洋沖地震(2011 3/11 14:46、M9.0) の震源の近くに位置しており、発電所内の各観測点において多くの貴重な強震記録が得られた。本研究では、東北電力株式会社女川原子力発電所内の鉛直アレーにおける観測記録を用いてNIOM解析を行い、東北地方太平洋沖地震とその前後の地震波の伝播時間の経時変化と地盤物性の変化を調べた。その結果、(1) G-1~G-2 区間(G.L.-147.1~-61.5m)では、東北地方太平洋沖地震の本震主要動部分においても最大剪断歪は5×10-5 程度、剪断剛性率G/G0 は0.8~0.9 程度であり、S 波の伝播時間の変化はわずかであったこと、(2) 一方、G-3~G-4 区間(G.L.-27.3~-1.7m)では、東北地方太平洋沖地震の本震主要動部において最大剪断歪は1×10-3 に達し、剪断剛性率G/G0 は0.3~0.4 程度まで低下したものと考えられることなどを指摘した。