2012 年 12 巻 6 号 p. 6_36-6_49
ペルーに適したLバンド合成開口レーダ(SAR)画像からの建物被害推定モデルの構築を目的として,2007年ペルー地震にて甚大被害を受けたピスコ市での現地調査データに基づき,被災地を観測したALOS/PALSAR画像から建物全壊率に応じた被災ランクを判別する回帰判別関数を提案した。回帰判別関数の説明変量である後方散乱係数の差分値と相関値の算出では,被害判別精度が高くなるよう最適なウィンドウサイズを検討した。そして,回帰判別関数の判別スコアから建物全壊率に関する基準化尤度関数を構築し,さらに,この地震の震度情報に基づく被害関数との統合処理により,PALSAR画像から建物全壊率分布を精度よく推定できることを示した。