日本地震工学会論文集
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論文
東日本大震災における津波の伝播特性の評価と避難の問題点
太田 外氣晴山中 浩明
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キーワード: 巨大地震, 津波, 速度, 避難
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2013 年 13 巻 5 号 p. 5_1-5_17

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抄録
東日本大震災において、モーメント マグニチュードMw9.0の地震と大津波により、甚大な被害を被った。本論では、公開されている動画等から津波や人・自動車の速度を青森県八戸市から千葉県山武市の13地域26点に亘って分析した。沖合にあるGPSの波高に対する汀線の波高の倍率は、三陸沿岸で2.7倍、仙台平野などで2.0~2.2倍であった。調査した範囲では、海上における津波の最大波速値は久慈沖で21m/s、陸上では南三陸町の志津川で約11m/sであった。また、GPS位置から海岸までの津波の平均的な波速は、釜石沖・宮古沖が約29m/s であった。自動車の最大速度は約14m/s(約51km/s)、人の代表的な速度は3m/sであったが、避難の分析には各々3m/s、1m/sとした。聞き取り調査による避難の分析結果を参照して、避難の諸問題を議論した。避難の所要時間は地域差があるが、三陸沿岸における地震発生30分後の避難開始では遅すぎで、より早く避難する必要があることが分かった。
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© 2013 公益社団法人 日本地震工学会
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