抄録
衛星光学センサ画像を用いた建物の被害把握はこれまでに数多く行われてきたが、直下視の画像からは建物上面しか観察できないため、建物側面への被害や層崩壊などの被災パターンを判読することは困難であった。そこで本研究では、 高解像度の衛星搭載合成開口レーダ(SAR)で得られた地震前後の強度画像を用い、画像上の倒れ込み領域とレーダー影から個別建物の形状変化を把握し、被害抽出を試みた。仙台塩釜港周辺の建物と福島第一原子力発電所を対象として、多時期のTerraSAR-X画像を使用して、災害前後の倒れ込み領域とレーダー影内の後方散乱の変化を観察した。その結果、津波によって側面が損壊した建物や、爆発によって上部が吹き飛んだ原子炉建屋の被害を捉えることができた。