抄録
地震とそれに伴う津波の被害軽減のための重要な対策の一つとして、地震直後の状況のシミュレーションを行い、その影響を分析し対策立案に活用することが挙げられる。本研究においては、建物被害の津波避難への影響を明らかにするため、強震動の応答解析に基づいて建物被害を予測した上で津波避難シミュレーションを行った。結果として、研究対象地域における現状での避難対策は地区住民全員が無事に避難するには不十分であること、耐震化率を100%まで向上させれば、最大で地区の3.7%の住民をさらに助けることができ、地区の90%の住民が避難完了するまでに要する時間もおよそ1分短縮できることが分かった。このことから、家屋の耐震化は、避難場所の配置と数、収容人数とあわせて考慮していく必要があるという結論が得られた。