本報告では、表層構造調査への地震波干渉法の適用性を検討することを目的に、水平成層近似が許容される観測サイトに於いて、測線長340 mの範囲内にある5つの観測点で収録された連続微動観測記録に地震波干渉法を適用した。地震波干渉法による相互相関関数から得られたレイリー波群速度と位相速度の結果は、2~10Hzの周波数帯域でアレー微動観測から推定された表層構造による基本モードのレイリー波理論群速度と理論位相速度に概ね一致した。求められたレイリー波の波長は、地震波干渉法による相互相関関数の空間応答特性とも整合し、観測点距離数百mの連続微動記録より周波数2Hz以上のレイリー波群速度と位相速度を推定可能であることが分かった。また、連続微動観測記録のシグナル部分とノイズ部分のRMS(Root Mean Square)を評価し、本観測では20時間程度のデータ収録で安定した地震波干渉法の結果が得られることが分かった。