日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
15 巻, 7 号
特集号「第14回日本地震工学シンポジウム」その1
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
巻頭言
論文
  • 武村 雅之, 虎谷 健司
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_2-7_21
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    1944年東南海地震(MJ=7.9)の被害統計資料の整理と震度分布の評価を行った。その結果従来のデータの誤りを正し集計値と整合のある市区町村データを新たに整備することができた。それらに基づいて震度分布図を作成し地域毎の揺れの特徴をわかり易く表現することができた。またそれらのデータを用いて東南海地震の人的被害の要因を検討した。合計1183名の死者数のうち、静岡県袋井市周辺や愛知県西尾市の旧矢作川流域など震度7になった地域での住家倒潰による犠牲者ならびに三重県の熊野灘沿岸のリアス式海岸地域における津波による犠牲者が多くを占めることが分かった。それに加えて愛知県半田市や名古屋市南区では揺れは震度6弱程度であったにも係らず市区町村別の死者数ランキングで1位と3位の犠牲者が出ていることが分かった。両者を合わせるとその数は279名となり、愛知県全体の435名の実に64%に当る。その原因は、耐震性の欠如を放置して飛行機組立工場へと転用された紡績工場の存在があった。このような行為は場合によって、津波にも勝るとも劣らない被害要因となることが分る。
  • 坂井 公俊, 井澤 淳, 室野 剛隆, 日野 篤志
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_22-7_33
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    地盤全体系の強度特性を表現する指標として、地盤の静的非線形解析結果に基づく地盤強度比の提案を行った。さらにこの地盤強度比をボーリング調査結果のみから簡易に推定する手法も提案し、その有効性を確認した。また、この地盤強度比を指標として大規模地震時の地表面地震動を分類することで、地盤応答の上限を直接考慮した形での地盤分類が可能となることを確認した。今回提案した地盤強度比によって地盤特性を表現することで、従来から一般的に用いられている地盤の固有周期のみを指標とした場合と比較して、大規模地震時の地表面応答を適切に評価できる可能性を示した。この時に必要な情報は、ボーリング調査結果と簡易な計算のみであるため、従来と同等の手間で評価が可能である。
  • 佐藤 智美
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_34-7_48
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    筆者が提案している表面波と散乱波を経験的に考慮した改良統計的グリーン関数生成手法を用いて、1987年千葉県東方沖地震(MJ6.7)の強震動シミュレーションを行った。観測とシミュレーションの震度と波形が合うように強震動生成域から成る震源モデルを推定した結果、既往のスラブ内地震の平均的な特性を持っていることがわかった。また、シミュレーション結果が観測をよく再現していることを示すことにより、提案改良統計的グリーン関数生成手法の妥当性を示した。
  • 風間 基樹, 河井 正, 森 友宏, 金 鍾官, 山崎 智哉
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_49-7_59
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では、東日本大震災で発生した液状化被害から、あるいはその解釈から、読み取れる現状の液状化研究の課題のいくつかを取り上げ、著者らの考えを述べている。具体的には、地盤の液状化予測判定法に関する課題、液状化による地盤の沈下量評価に関する課題、河川堤防の液状化被害に見る課題等を、被害事例や実験結果に基づいて論じている。今次の被害を現状の技術の延長線上でとらえることに限界があることを示し、新たな概念に基づく液状化被害の予測対策技術の開発が必要であることを述べている。
  • 中川 博人, 林田 拓己, 横井 俊明, 鹿嶋 俊英, 小山 信, WIRADIKARTA Chiko Bhakti Mulia, GUER ...
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_60-7_71
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震で被害のあったいわき市役所では、既往のボーリング調査結果から工学的基盤が傾斜していることがわかっている。本報告では、工学的基盤が傾斜しているサイトにおいて実施した微動観測から得た結果と、PS検層およびボーリングデータに基づく1次元構造から得られる計算値の対応について考察を行った。得られた知見は以下のようにまとめられる。1) H/Vスペクトル(特に谷の位置)は観測値と計算値とがおおむね対応する。2) 観測記録にCCA法を適用して推定した位相速度は、H/Vスペクトルの谷付近より高振動数側では計算値と対応するが、H/Vスペクトルのピーク周期付近では推定精度が低下する傾向にある。3) 得られた観測記録を使って逆解析を行った結果、基盤深度はボーリング結果に比べて深く推定されることを確認した。
  • 元木 健太郎, 加藤 研一, 岡崎 敦
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_72-7_89
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2004年留萌支庁南部の地震(MJ6.1)の際、K-NET港町観測点で1Gを超える加速度記録が得られた。まず、港町観測点の表層地盤の非線形化が現れる周波数範囲を確認するため、H/Vスペクトルのピーク周期に基づいて、本震時と余震時の地盤の固有周期の違いを調査した。次に、港町観測点を含む震源近傍の3観測点の記録に適合するように、既往研究で得られた震源モデルを調整し、地震動シミュレーションを実施した。震源から比較的遠い観測点の振幅の小さい成分では、理論地震動が観測記録を過小評価した。その要因を分析するために、震源モデルに関するパラメトリックスタディと、不均質性を考慮した地盤モデルを用いた検討を行った。その結果、震源から比較的遠い観測点では、地盤の不均質性を考慮することによってシミュレーションの精度が向上することを示した。
  • 香川 敬生
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_90-7_99
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    横ずれ断層と逆断層のそれぞれについて300通りの断層破壊シナリオを設定し、断層を取り囲む200km×200kmの領域内2kmメッシュ毎(10,201点)の強震動を統計的グリーン関数法で計算したデータを用いて、地震動の平均値およびばらつきの空間分布を評価した。その結果、断層とサイトとの位置関係によって断層シナリオの変動による地震動のばらつきが異なり、それがどのように分布するのかを、特に地震動の周期特性に関して把握することができた。これらの結果を活用して行くことにより、対象サイト周辺の活断層調査において断層破壊シナリオを構築する上でどの部分の重点的な調査が効果的か、また強震動想定地点では対象周期帯域においてどの程度のばらつきを考慮する必要があるかを、予め把握した上で検討にあたることが可能となろう。
  • 関口 徹, 中井 正一
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_100-7_113
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    大規模に宅地造成が行われた千葉市おゆみ野地区、八王子市多摩ニュータウンの一部の地区を対象に、微動単点観測と表面波探査を行った。さらにおゆみ野地区については多数のボーリングデータをもとに25mメッシュ単位での表層地盤モデルを作成し地震応答解析を行い、微動や地震観測記録と比較するなどにより同地区の地盤震動特性の検討を行った。その結果、盛土地盤における微動H/Vスペクトルの卓越周期は、造成前の谷地形に軟弱層が堆積していない場合は盛土厚と高い相関が見られた。一方、谷津のような腐植土等の軟弱層が谷地形に堆積している場合は、軟弱層の影響を大きく受けるため微動H/Vスペクトルの卓越周期と盛土厚との相関は低かった。よって、宅地造成された地盤での地震動特性には、造成前の地盤種別や地形分類が大きく影響すると考えられる。
  • 豊田 浩史, 高田 晋, 原 忠, 竹澤 請一郎
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_114-7_120
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では、千葉県浦安市の埋立地で液状化が発生し、ライフライン等に甚大な被害をもたらした。埋立地盤の多くが大規模に液状化していたが、地盤改良を施した箇所の被災は軽微で、噴砂の少ない箇所も存在していた。このような液状化箇所と非液状化箇所において、簡易動的コーン貫入試験と表面波探査試験を行ったが、結果に大きな違いは見られなかった。そこで、室内三軸試験を行い、せん断波速度、液状化強度と地盤物性との関連性を検討した結果、応力履歴は液状化強度を増加させるが、せん断波速度の増加には寄与していなかった。さらに、余震時に液状化被害が拡大する傾向が見られたため、再液状化の特性についても検討を加え、応力履歴によって増加した液状化強度は、液状化により喪失してしまうことがわかった。
  • 東畑 郁生, 田口 雄一, 林田 敏彦, 濱田 悠貴, 青山 翔吾, 後藤 茂
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_121-7_130
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    従来の液状化危険度予測は設計作業の一環として行われ、その目的は安全な施設を造ることであった。したがってある程度の安全側の評価すなわち液状化抵抗をやや過小に評価することがあっても、それは設計として当然のことであった。ところが近年は液状化ハザードマップの作成が社会的に重要となり、液状化抵抗をより正確に評価することが重要となってきた。そのために本研究では、液状化抵抗が年代とともに増加する年代効果を取り上げ、その定量的評価を試みた。2011年の東日本大震災の事例を中心に1995年の阪神大震災における液状化事例をも取り上げ、地盤の年代とボーリングデータを用いて液状化抵抗を推定した結果、抵抗が年代とともに増加すること、そして実用上は、400年を経た地盤であれば液状化抵抗を現行の設計基準の方法に比べて4割増加させられることを、見出した。
  • 天藤 潤一, 永野 正行, 上林 宏敏
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_131-7_140
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震本震時に、大阪湾沿岸部において長周期地震動の振幅レベルが急激に増大し、大阪府咲洲庁舎の建物被害に大きな影響を与えた。この地域における波動伝播及び地盤増幅特性を検証するため、水平SH波入射による地盤応答解析を3次元差分法により行った。東海・東南海沖を震源と想定した地震波入射方向を考慮したときの地盤増幅特性を調べるとともに、上町断層帯の深部地盤構造が長周期地震動の増幅に与える影響を評価した。
  • 宮腰 研, 入倉 孝次郎, 釜江 克宏
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_141-7_156
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    1995~2013年に国内で発生した内陸地殻内地震(MW5.4~6.9)を対象に震源インバージョン結果を収集・整理し、震源断層の巨視的・微視的パラメータの推定を行った。断層破壊領域およびアスペリティ領域の抽出は、Somerville et al.(1999)と同様の規範を用いて行った。その結果、アスペリティ領域の面積比(アスペリティ面積/断層破壊面積)はSomerville et al.(1999)の結果(0.22)に比べて小さい結果(0.16)が得られた。また、断層破壊面積と地震モーメントの関係はMW6.5以下でSomerville et al.(1999)およびMW6.5以上で入倉・三宅(2001)のスケーリング則とよく一致することを確認した。震源断層の長さと地震モーメントの関係において、MW6.5以下では武村(1998)のスケーリング則と調和的である一方、MW6.5以上では武村(1998)のそれとは一致せず、地震本部(2009)のスケーリング則とよく一致することを確認した。また、武村(1998)に記載されている地震カタログの中で1995年以前に発生した6個の地震(MW6.5以上)について、震源インバージョン解析の文献調査に基づいて震源断層の長さと地震モーメントの見直しを行った結果、それらの震源断層長と地震モーメントの関係は地震本部(2009)のスケーリング則とほぼ一致することがわかった。
  • 谷本 俊輔, 川口 剛, 佐々木 哲也
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_157-7_172
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震を受けた東京湾沿岸域では、地表に現れた噴砂等の変状の平面分布から、埋立てによる人工造成地盤に顕著な液状化が生じたことが明らかとなっている。しかし、本震直後の強い余震による液状化の発生も確認されていることもあり、深さ方向のどの範囲がどの時点で液状化したのかが明らかとなっていない。そこで、本研究では、今後の液状化判定法の改善に資するための質の高い検証材料を得ることを目的とし、東京湾沿岸の埋立地盤で得られた鉛直アレー記録の分析を行い、深さ方向の液状化発生状況の評価を試みた。また、同サイトに対して実施した液状化判定の結果と比較することで、液状化判定法に関する今後の課題について考察を行った。
  • 井元 政二郎, 森川 信之, 藤原 広行
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_173-7_179
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    地震調査委員会による相模トラフ沿いの地震活動の長期評価において、地形・地質データに基づいたM8クラス地震発生確率がBPT分布を用いて推定されている。本稿では、歴史地震と地形・地質データとを統合処理する方法を提案し、大正関東地震(1923)、元禄関東地震(1703)、明応関東地震(1495) 、永仁関東地震(1293)を含めた場合について確率値を試算した。明応地震を含めない場合、30年確率は長期評価された値と大きく変わらないが、明応地震を含めた場合、有意に大きな値となる。BPT分布と指数分布との尤度比について検討を加えた結果、明応関東地震を含む場合では指数分布の適合度がBPT分布より高いことが判明した。明応関東地震の認識論的不確実性は、確率値の評価に大きな影響を及ぼすと考えられる。
  • 西川 隼人, 宮島 昌克
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_180-7_193
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    著者らは震源スペクトルやサイト増幅特性のパラメータから表現される最大地動加速度、最大地動速度の地盤増幅度評価式を提案している。本論文では評価式で用いるサイト増幅特性を複数の関数を合成して表すことにより、複雑なサイト増幅特性に対しても利用できる地盤増幅度評価式を求めた。M6~7クラスの地震で得られた観測記録による地盤増幅度と提案式による地盤増幅度を比較した。提案式による地盤増幅度の計算値と観測値を比較したところ、最大地動速度の地盤増幅度の方が誤差が小さいことが明らかになった。
  • 浅野 公之, 岩田 知孝, 宮腰 研, 大堀 道広
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_194-7_204
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    強震動予測に必要となる堆積平野の地下構造モデルの改良、高度化に資するため、石川県加賀平野南部および邑知潟平野において、微動アレイ観測および単点微動観測を実施した。得られた位相速度分散曲線およびH/Vスペクトル卓越周期の空間分布をもとに、平野内の堆積層構造の空間変化について議論するとともに、既存の地下構造モデルとの比較を行った。加賀平野において、小松周辺では手取川扇状地以北に比べて堆積層が急激に薄くなっていることが明らかとなった。邑知潟平野においては、七尾から羽咋に向かって、徐々に卓越周期が長周期化しており、堆積層厚が厚くなっていることが示唆される。
  • 安田 進, 石川 敬祐
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_205-7_219
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2011年東日本大震災で住宅地が液状化により甚大な被害を受けた関東の諸都市では、地区全体で地下水位を低下させて対策を施す「市街地液状化対策事業」が進められている。ところが、地下水位低下が家屋の液状化被害を軽減する効果に関しては、これまであまり定量的に明らかにされてきていない。そこで、まず過去の地震における被災事例について調べ、被害が生じる限界の水位を調べた。また、下層の液状化が地下水面上の表層の水位上昇に与える影響に関して試算を行った。さらに、戸建て住宅のめり込み沈下量や傾斜角に与える地下水位の影響を残留変形解析によって解析してみた。これらの結果、現在各都市の「市街地液状化対策事業」で目標とされているGL-3m程度まで地下水位を下げることが妥当と考えられた
  • 中井 春香, 武村 雅之
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_220-7_229
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    1945年1月13日に発生した三河地震の特徴としては、東南海地震の約1か月後に発生した地震であること、戦時中であったこと、そして家屋喪失数に対して死者数が多い地震であることがあげられる。飯田(1985)のデータにおける三河地震の被害として一般的に用いられている数値は調査データの最大値の総括であり、市町村単位とする内訳に戻れないことが判明した。このため、1945年1月14日の愛知県警備課による統一的なデータも用いながら、各市町村のデータを算出し震度分布図をGISを用いて作成した。その結果、沖積低地である岡崎平野や矢作川流域では被害が大きく、幡豆山地などの丘陵地に属する地域は被害が小さかった。また、地盤による震度や被害の影響は、東南海地震と類似していたことがわかった。一方、断層のごく近傍では、全潰家屋の割に死者数が特に多く発生している傾向もみられ、断層近傍特有の被害にも注目する必要があるものと考えられた。
  • 中村 亮一, 植竹 富一, 引間 和人
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_230-7_241
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    広域の地震動評価を目的に、三次元減衰構造(3D-Qs値モデル)考慮した統計的グリーン関数法を2003年十勝沖地震及び2011年東北地方太平洋沖地震へ適用し、三次元減衰構造を考慮した場合と、Q値を一様とした場合(一様Qs値モデル)との比較を行った。三次元減衰構造の効果を見るために、震源については単純に滑りが一様なモデルを用いた。広域の応答スペクトルの分布を見ると、一様Qs値モデルを用いた場合には1Hz程度では遠距離の観測点で過小評価となるのに対して、3D-Qs値モデルの場合には観測記録をよく再現する。
  • 新垣 芳一, 栗田 哲史, 安中 正, 岡田 浩士
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_242-7_252
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    関東平野周辺の地震観測点における工学的基盤面の揺れやすさ特性について、減衰5%の加速度応答スペクトルで表される平均応答スペクトル比(観測値/推定値)を指標に、その空間分布図を作成し、地形や地質の分布との対応度合いを検討した。検討結果を踏まえた上で工学的基盤面の揺れやすさ特性についてゾーニングを実施した結果、関東平野周辺は8つのグループに分類された。平均応答スペクトル比の主なる傾向は次の通りである。(1) 海岸低地では1倍程度である。(2) ローム台地では短周期側で千葉・茨城方面は大きく、東京・埼玉方面は小さい。(3) 相模平野では盆地構造が影響して固有周期1秒付近で大きくなる。(4) 古い時代の地質の地域では全体的に小さい。
  • 渡邊 藤一郎, 佐藤 利昭, 肥田 剛典, 井口 道雄, 真崎 雄一, 御子柴 正, 永野 正行
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_253-7_260
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    本稿は、既報で提案した履歴モデルの多層架構への適用性を、2層木造軸組架構に対する振動台実験を通して検証した結果を示すものである。提案モデルは、制振装置の履歴特性を表すせん断型モデルで、実験時の柱脚の鉛直変位が小さいことを確認した上で、試験体の仕様に則したモデルを設定した。実験結果と解析結果の比較から、提案したモデルはBi - linear + Slipモデルに比して高い再現性を有することを示した。
  • 齋田 淳, 中村 豊, 佐藤 勉, 立花 三裕
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_261-7_274
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    日本で二番目に大きい青銅座仏である鎌倉大仏は、元禄・大正の関東地震の震源域に位置する鎌倉にあって、約750年前の造立当時の姿をほぼそのまま伝えている。昭和の大修理から50年以上が経過した現在、強烈な地震動にも耐えた仏体の現状を把握し、今後の的確な維持に資するため、様々な調査が計画されている。本格調査に先立って、仏像本体の地震応答特性を予備的に調査する機会を得て、像内部のいくつかの場所で常時微動を測定した。このとき、顎部におかれた胎内仏や蓄積した賽銭などの重量物を移動する前後の微動特性変化も計測できた。ここでは2013年に実施した予備調査結果を中心にその概要を述べる。
  • 和田 一範, 池田 学, 斉藤 雅充, 山下 健二
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_275-7_283
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    鋼鉄道橋の地震時被害は、支承部が圧倒的に多く、その中でも特に斜角桁の支承部の損傷割合が高い。このことから、斜角桁の支承部への作用力は直橋に比べて相対的に大きいと考えられる。しかしながら、斜角桁の支承部の作用力に着目した検討はこれまであまり行われておらず、斜角桁の支承部の作用力が大きくなる理由や条件については不明確な点が多い。そこで本研究では、斜角や支間の異なる鋼鉄道橋を対象に平面骨組モデルを作成し、静的解析および動的解析を実施し、斜角桁の支承部の作用力を比較することで、直橋に比べて作用力が大きくなる理由や条件などについて基礎的な検討を行った。その結果、主桁のたわみ差を抑えるための付加的な作用力により、斜角桁の鈍角側の支承の作用力が鋭角側に比較して大きくなること、またその傾向は、鋼桁の面外剛性が小さいほど顕著となることが明らかとなった。
  • 上島 照幸, 塩尻 弘雄, 金澤 健司
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_284-7_294
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    高経年化したアーチダムを観測対象とし、卓越振動数とその経時変動・地震時変動を把握することを通じて構造健全性モニタリングに資することを目的として微動・地震動の長期継続観測を実施した。3年半に亘る微動・地震動の継続観測データの分析から;1) 常時微動による卓越振動数のモニタリングによってアーチダムの構造健全性を評価できること、 2) 東北地方太平洋沖地震、およびその後の数々の大規模余震後においても観測対象ダムの構造健全性が維持されていたことを卓越振動数という数値によって客観的に提示できたこと、3) 卓越振動数が変化していないことは構造健全性の維持確認に加えて地震荷重が不変である確認にもなっており、地震後における耐震性検討が不要であることを示していること、など、重要な諸点が明らかになった。
  • 細 政貴, 飯山 かほり, 石田 孝徳, 藤田 航平, 山崎 義弘, 市村 強, WIJERATHNE Lalith, 盛川 仁, 堀 宗朗 ...
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_295-7_305
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    都市デジタルデータに基づき地盤と構造物を表す都市モデルを構築し、地震動と構造物群の応答のシミュレーション結果に基づき都市の地震被害を合理的に予測することを目的として、統合地震シミュレータ(IES: Integrated Earthquake Simulator)の開発が行われている。IESにおける構造物シミュレーションではFIBERモデルやMDOF(Multi Degree of Freedom)モデル等いくつかのモデルが実装されており、対象構造物に応じて選択できる。このうち最もシンプルなMDOFモデルの拡張として、MSS(Multiple Shear Spring)モデルも実装した。MSSモデルは本来、柱や免震部材のような部材単体への適用を念頭においたものであるが、水平面内の局所的な損傷の影響を各方向の応答に反映できることから、建物の層剛性モデルとして適用することでより精度の高い応答評価が期待できる。そこで本研究では、MSSモデルを層剛性モデルとして適用した場合の応答特性を把握するための基礎検討として、従来のMSSモデルと、その応用として建物方向別の水平剛性の違いを反映できる新たなMSSモデルも併せて提案し、代表的な地震動を用いてMDOFモデルを含めた各モデルの応答の差異について考察した。
  • 井川 望, 伊藤 真二, 田沼 毅彦, 渡辺 一弘
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_306-7_315
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    大阪市に建つ粘弾性ダンパーを用いた鉄骨造(柱はコンクリート充填鋼管)の40階建て超高層集合住宅について、大きな加速度が観測された2つの地震記録を対象に、立体フレームモデルを用いて応答解析を行った。その結果、温度依存性等を考慮して粘弾性ダンパーのモデル化を行えば、観測記録とよい対応が取れ、ダンパーの挙動も評価できること、ダンパーのないモデルによる解析結果との比較から、ダンパーにより建物応答が低減し、また、地震時のダンパーの温度の違いによって応答低減の程度が異なること、などが確認できた。
  • 内山 庄一郎, 井上 公, 今井 弘
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_316-7_323
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2014年6月5日につくば市の防災科学技術研究所で行われたインドネシア型レンガ組積造住宅の実大振動台実験において、試験体の壁面の崩壊を8台のフルハイビジョンカメラを用いて撮影し、得られた動画からStructure from Motion技術を用いて試験体の三次元モデルを生成した。その結果、加振開始から試験体が崩壊するまでの間、1/24秒間隔で合計399の三次元モデルを得ることができた。これにより、試験体の挙動を時系列で、任意の視点から観察できる。本手法は振動台実験等の新たな観察手法として有用である。
  • 塩浜 裕一, 坂本 宏昭
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_324-7_334
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    水道配水用ポリエチレン管は、ポリエチレン材料と一体構造管路の特性により、高い耐震性を持っている。ここでは、管に使用されているポリエチレンの特性、ポリエチレン管による一体構造管路の耐震計算例、地震動や地盤変状を想定した耐震実験及び東日本大震災などの大地震での被害調査などについて述べる。
  • 寺村 直人, 川崎 佑磨, 伊津野 和行
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_335-7_342
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    橋梁の免震支承に経年劣化が報告されるようになった。積層ゴム支承は被覆ゴムで覆われているため、経年劣化等による内部の損傷を評価する方法がないのが現状である。そこで本研究では、非破壊検査法のアコースティック・エミッション(AE)法を用いて積層ゴム支承の健全性評価を行った。事前にせん断試験が行われた供試体に、AEセンサを設置して繰返し圧縮載荷試験を行った。試験から得られたAE発生挙動とAEパラメータから、積層ゴム支承の健全性評価および内部損傷位置の特定が可能であることを示した。
  • 山本 実, 中井 正一, 関口 徹, 福武 毅芳, 田地 陽一
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_343-7_353
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    著者らは、既存杭の活用も考慮した杭頭応力低減方法として、杭頭と基礎底面を完全に切り離した「杭頭絶縁基礎」という新しい基礎工法を提案しており、1/10スケールの構造物模型による実地盤での地震観測を行っている。本報告では、一連の現場模型実験から得られた地震記録を基に三次元有限要素法によるシミュレーション解析を行い、杭頭絶縁基礎の地震時応答特性を評価した。その結果、杭頭絶縁基礎は杭頭応力のみならず、直接基礎および杭基礎と比べて構造物の応答を抑制する効果があることが確認できた。
  • ―市区町村別簡易評価法のシステム構築―
    加藤 宏紀, 能島 暢呂
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_354-7_367
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまで、震度情報に基づく供給系ライフラインの機能的被害・復旧に関する二段階評価モデルを提案してきた。本論文ではその市区町村別評価を日本全国を対象として網羅的に行うための簡易評価法を示す。市区町村別の計測震度を入力情報として、任意の行政単位(市区町村・都道府県・ブロック・全国)でのライフライン機能的被害・復旧過程を推定するものである。この簡易評価法をExcel/VBAで実装した評価ツールを構築し、ユーザーが独自の条件設定のもとでの評価を可能にした。ライフライン供給支障人口に基づく諸量(避難人口および応急給水必要量など)の推計への応用も可能である。既往地震として2004年新潟県中越地震、想定地震として南海トラフ巨大地震(基本ケース)を対象とした評価例を示した。
  • 中澤 良太, 山崎 文雄
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_368-7_377
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    日本の各自治体において地震被害想定がなされているが、これに必要となるメッシュ単位の埋設管路データの整備は十分になされていない。建物棟数など、他のデータからの推定により作成されている場合が多く、その精度に問題がある。そこで本研究では、実際の下水道および道路データのある浦安市を対象に、250mメッシュ毎の下水道延長と道路延長との相関分析を行った。また、道路の幅員を考慮した推定法なども検討した。この推定法の精度を評価するために、柏崎市を対象にこれらの推定法を既存の推定法と比較し、より高い推定精度であることを確認した。
  • 岩瀬 早綾, 山崎 文雄
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_378-7_389
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    日本では内閣府や自治体で、地震防災対策の1つとして様々な被害予測が行われている。そのうち東京都では、地震による建物倒壊と火災出火・延焼の危険性を評価した地域危険度測定調査が行われ、2013年に第7回調査が公表された。これは地震に脆弱な地域を抽出することで市街地整備や防災意識の向上に役立てられている。しかしこの調査には都独自のデータや算出法が用いられることから、パラメータ変更の際や他地域での同様な危険度算出は容易ではない。そこで本研究では、東京都のデータから建物の震動被害を支配する要因を明らかにするとともに、回帰分析により簡易な推定式を構築して危険量推定を行い、実際の調査との精度比較を行うことで本手法の有用性を検討した。
  • 三浦 弘之, 翠川 三郎, 松岡 昌志
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_390-7_403
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    高分解能SAR画像による建物被害の検出精度の向上を目指して, 2010年ハイチ地震の被災地を対象として, 撮影方向が異なる2ペアの地震前後のSAR画像を用いて, 個々の建物の倒壊の有無を判別する解析を行った.まず, 撮影方向がほぼ同一の1ペアの画像と建物フットプリントデータを用いて, 地震前後の強度差分値と相関係数に基づく線形判別解析から, それぞれの検出精度を比較したところ, 画像の撮影方向と建物の立地方向の関係によって精度が変化することを明らかにした.さらに, 2ペアの画像を用いた判別解析を行い, 1ペアの画像解析に比べて検出精度がやや向上することを示した.
  • 加藤 蒼二, 鍬田 泰子
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_404-7_415
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    茨城県の利根川下流域では、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とその余震で広域な液状化が発生した。本研究では、先行研究において液状化によって管路被害が集中して発生した地域を対象に、地震発生後の航空写真から噴砂痕が見られた範囲を特定し、噴砂域にある上水道・下水道管路の被害発生状況と被害位置との空間的関係について明らかにすることを試みた。その結果、噴砂域にある水道管路被害率は、管路被害集中地域のそれよりも約10倍高くなった。また、噴砂域にある管路延長が長くなるにつれ、上下水道管路の被害の発生率は高くなり、水道管路被害位置は噴砂域の中央から噴砂域の境界に移動することがわかった。また下水道管路においては、連続した2区間で被害がある場合は、中央の人孔周辺で噴砂が発生することが多いことが確認できた。
  • 丸山 喜久, 永田 茂, 若松 加寿江
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_416-7_427
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では、東日本の広い範囲で水道施設に被害が発生し、約230万戸が断水した。本研究では、厚生労働省が2012年にとりまとめた東日本大震災水道施設被害状況調査報告書で用いられた水道事業体ごとの管理被害データを用いて、広域的な被害分析を行う。導水管、送水管、配水管の被害を分析対象とし、管路延長データは平成23年度水道統計から取得した。既往の管路被害予測式と比較を行い、東北地方太平洋沖地震の際の管路被害の特徴を明らかにした。
  • 神山 眞, 小出 英夫, 沢田 康次, 秋田 宏, 千葉 則行
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_428-7_443
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    本文は国土地理院が全国に展開しているGPS観測システムGEONETによる地震時地殻変動から求めた地盤の地震時ひずみの特性を二つの代表的な地震を対象として述べるとともに、それらの地震により生じた土木構造物の地震被害との関係を考察したものである。対象とした地震は2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)と2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)である。被害地点の分布は地盤ひずみ分布と相関があり、10-4.7~10-4.5の最大せん断ひずみレベルが土木構造物被害発生の一種のしきい値を与えることが指摘される。
  • 坂本 あいの, 肥田 剛典, 山根 義康, 岩岡 竜夫, 永野 正行
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_444-7_453
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    東京都中央区に建つ隣接した2棟の超高層集合住宅を対象に、居住者に対する室内被害に関するアンケート調査と建物の非線形時刻歴応答解析を行い、両建物で室内被害の差異が生じた要因を検討した。2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)時では、両建物で建物居住者の行動難度や最大床応答の差異は小さかったものの、壁紙の亀裂被害や層間変形に差異が見られた。時刻歴応答解析による応答にシステム同定手法を適用し固有振動数と減衰定数の経時変化を評価した。この結果、入力波の特性と両建物の固有周期や等価減衰の関係により室内被害等の差異が生じたことが分かった。
報告
  • 津野 靖士, 岩田 直泰, 宮腰 寛之, 山本 俊六, 地元 孝輔
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_454-7_462
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    本報告では、表層構造調査への地震波干渉法の適用性を検討することを目的に、水平成層近似が許容される観測サイトに於いて、測線長340 mの範囲内にある5つの観測点で収録された連続微動観測記録に地震波干渉法を適用した。地震波干渉法による相互相関関数から得られたレイリー波群速度と位相速度の結果は、2~10Hzの周波数帯域でアレー微動観測から推定された表層構造による基本モードのレイリー波理論群速度と理論位相速度に概ね一致した。求められたレイリー波の波長は、地震波干渉法による相互相関関数の空間応答特性とも整合し、観測点距離数百mの連続微動記録より周波数2Hz以上のレイリー波群速度と位相速度を推定可能であることが分かった。また、連続微動観測記録のシグナル部分とノイズ部分のRMS(Root Mean Square)を評価し、本観測では20時間程度のデータ収録で安定した地震波干渉法の結果が得られることが分かった。
  • -1998年測定と2013年測定の比較-
    佐藤 勉, 中村 豊, 齋田 淳
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_463-7_473
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    我々がローマにあるコロッセオの常時微動を1998年に本格的に測定してから15年以上が経過した。2013年には、そのうちの一部を再計測する機会に恵まれた。再計測したのは、1354年の地震でも崩壊せずに残った北側最外壁の地上階から最上階までである。地上階を除き15年前とほぼ同じ位置で計測できたので、以前の測定データも改めて今回の計測データとともに解析して、両者を比較した。その結果、概ね同様な伝達スペクトル形状となったが、明らかな相違も検出されたので、これらについて報告する。
  • 佐藤 健, 増田 聡, 柴山 明寛
    2015 年 15 巻 7 号 p. 7_474-7_484
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    著者らは、従来の防災リーダー養成のあり方に問題意識を持ち、課題解決に向けた養成プログラムの開発に関わった。その基本コンセプトは、養成講習で身に着けた知識と技能を、災害時だけでなく平常時から地域に根差した防災活動に生かすことができる人材の養成である。この人材像に対する社会的ニーズは、東日本大震災以前から示されていたことであるが、東日本大震災の経験を通じた仙台市内の自主防災組織のアンケート調査結果からも改めて確認された。このような状況から、仙台市では、2010年に「地域防災リーダー養成プログラムに関する検討委員会」が設置され、著者らがメンバーとなって具体的な講習内容や受講者の人材像等が協議された。そして、東日本大震災の発生に伴い、その経験から講習内容の必要な見直しを行った上で、「仙台市地域防災リーダー養成講習会」が2012年から事業化された。本論では、受講者の基本属性や受講後の活動概要を報告するとともに、仙台市内の自主防災組織が潜在的に持つ地域防災力について、東日本大震災前後の変遷についても報告する。
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