抄録
東京都中央区に建つ隣接した2棟の超高層集合住宅を対象に、居住者に対する室内被害に関するアンケート調査と建物の非線形時刻歴応答解析を行い、両建物で室内被害の差異が生じた要因を検討した。2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)時では、両建物で建物居住者の行動難度や最大床応答の差異は小さかったものの、壁紙の亀裂被害や層間変形に差異が見られた。時刻歴応答解析による応答にシステム同定手法を適用し固有振動数と減衰定数の経時変化を評価した。この結果、入力波の特性と両建物の固有周期や等価減衰の関係により室内被害等の差異が生じたことが分かった。