抄録
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「本地震」という。)により、高速道路の土工部においても、路面のクラックや段差等が約4,200箇所確認されたほか、21箇所は本線車線に影響する比較的大きな被害も確認された。そのうち、被害の大きい3箇所の盛土の崩壊要因について分析した。その結果、過去の地震で崩壊要因として着目していた傾斜地盤上の谷埋め盛土や軟弱地盤上の盛土に加え、新たな形態として比較的良好な平坦地盤上の盛土において、盛土内の過剰間隙水圧の上昇など水の集まりやすい条件の箇所により崩壊に至ったことを確認した。本論文では、平坦な地盤での盛土崩壊の要因分析により一定条件のもとでは大きな崩壊が生じることを明らかにし、さらに類似条件の盛土に対して効果的でかつ実用的な耐震対策工法を提案した。