日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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論文
ドライビングシミュレータ実験による津波避難のためのハザードマップ利用の有効性の検討
榊 想太郎丸山 喜久
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2016 年 16 巻 1 号 p. 1_274-1_284

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抄録
本研究では、津波が発生した際の自動車運転を体験できるドライビングシミュレータを用いて、自動車による避難実験を行った。このドライビングシミュレータには、神奈川県鎌倉市を想定した津波遡上CGが搭載されており、津波数値解析結果が3次元都市モデル内で生成される。避難実験は、カーナビによる経路案内や、津波ハザードマップを走行中に表示するシナリオを用いることとし、被験者の避難行動を、浸水情報の周知、経路案内の有無などに着目し、シナリオ間で比較した。さらに、運転者への情報提供が津波時の避難行動にもたらす効果および問題点を検討した。実験の結果から、自動車の津波避難成功率を高めるには周囲の交通状況に応じた推奨避難経路を提供することが最も望ましいと考えられるが、その実現は短期的には難しく、道路標識等を活用する、地域内で自動車避難の優先順位付けをする、防災教育を充実するなど、多角的な取り組みが重要と考えられる。
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© 2016 一般社団法人 日本地震工学会
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