日本地震工学会論文集
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論文
東北地方太平洋沖地震による上水道管路被害における液状化の影響
若松 加寿江先名 重樹小澤 京子
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2017 年 17 巻 2 号 p. 2_142-2_157

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抄録

本研究では, 厚生労働省が2013年にとりまとめた東日本大震災水道施設被害状況調査最終報告書で用いられた導水管, 送水管, 配水管の被害データと筆者らによる液状化発生データを用いて, 管路被害における液状化発生の影響を分析した.分析の結果, 上記の管路被害のうち口径50mmを越える被害の約25%, 口径50mmの管路被害の約15%は液状化が確認された250mメッシュの中にあった.関東地方と東北地方を比べると, 関東地方の方が液状化メッシュ内での管路被害の割合が多かった.管路への液状化の影響は震度5強以上, PGA≥150cm/s2, PGV≥20cm/sで起きており, 震度とPGAに関しては, 地震動指標値が低くなるほど, 液状化発生メッシュ内での被害地点の占める割合が多くなる傾向が認められた.液状化メッシュ内とそれ以外の被害地点の微地形区分を比べると, 両者には明瞭な差異があり, 前者はいわゆる液状化が起きやすい微地形区分, 後者は丘陵や台地など比較的硬い地盤で構成される微地形区分が多かった.液状化発生メッシュ内での管路被害地点は, 宅地になる以前の旧地形の影響を強く受けている地域が目立った.液状化発生メッシュ内での管路の被害割合が多かった事業体における液状化発生地点を対象として, 「宅地の液状化可能性判定に係る技術指針」に示された二次判定手法により液状化被害の可能性の判定を行ったところ, 解析を行った6地点全てで「顕著な被害の可能性が高い」と判定された.

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© 2017 一般社団法人 日本地震工学会
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