日本地震工学会論文集
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論文
回転成分推定法の開発と小規模高密度微動アレイ記録への適用
羽田 浩二堀家 正則
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2017 年 17 巻 2 号 p. 2_88-2_107

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抄録

本研究では, 地表面におけるロッキング2成分とトーション1成分の回転3成分ベクトルの2つの推定法を開発する.1つ目は, n次弾性体法と呼び, 地表面が弾性体であると仮定し, 回転ベクトルは地表面震動の空間に関する1次導関数から構成される.1次導関数は, 複数観測点の差動をn次のテーラー展開することにより得られる連立方程式から求める.2つ目は剛体法と呼び, 地表面を剛体と仮定して観測差動から最小二乗法により求める.剛体法は更に複数観測点の差動記録を用いる多点剛体法, 基準点を含む2点の観測点の差動記録のみを用いる単点剛体法に細分される.また, 1次弾性体法と多点剛体法が同じであることも示した.n次弾性体法を小規模高密度微動アレイ記録に適用した結果, 3成分の角加速度が推定でき, トーション成分に対しては剛体として振舞う範囲が基準点を中心とした半径5m程度内である可能性を示せた.さらに, 観測の最も簡単な単点剛体法による自乗平均平方根は, 基準点近傍では1次弾性体法(あるいは, 多点剛体法)によるそれとほぼ同じであることもわかった.

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© 2017 一般社団法人 日本地震工学会
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