日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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論文
震源インバージョン結果に基づく地震発生層以浅におけるすべり速度時間関数の評価
田中 信也引間 和人久田 嘉章
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2017 年 17 巻 5 号 p. 5_1-5_20

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抄録

既往の震源インバージョン結果を収集し,収集した震源インバージョン結果と強震動レシピに基づく震源断層モデルを対象に,理論的手法(波数積分法)を用いて地震動評価を行い,すべり速度時間関数が観測記録の再現性に与える影響を評価した.断層最短距離が2km程度以内の震源近傍の観測点において,強震動レシピに基づく震源モデルを用いると,地震発生層以浅のすべりを考慮しない場合には観測記録を過小評価し,考慮する場合には過大評価する.これは,震源インバージョン結果では,地震発生層以浅におけるすべり速度時間関数が時間ウィンドウの後半ですべり速度が最大値に達する幅広の関数となっており,強震動レシピとの乖離が大きいことが原因である.そこで,震源インバージョン結果から,地震発生層以浅に適用可能なすべり速度時間関数を設定し,観測記録を精度良く再現できることを示した.

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© 2017 公益社団法人 日本地震工学会
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