2017 年 17 巻 5 号 p. 5_21-5_37
地震動の経時特性を表す特徴量として,正規化加速度累積パワー曲線 (Husid plot) に基づく98次元の特徴ベクトルが能島ら(2017)により提案されている.本研究ではこの98次元の特徴ベクトルにKL (Karhunen-Loéve) 展開を適用し,経時特性のモード分解とモード合成による近似方法を提案するものである.特徴ベクトルの分散共分散行列の固有値解析により固有値と固有ベクトルを求める.その直交行列を用いて特徴ベクトルを主成分に変換するとともに,主要モードからなる部分空間における逆変換により特徴ベクトルを近似し,情報損失の少ない次元縮約を図るものである.再合成された包絡形状の適合性の検証にはカーネル密度推定を用いる.2011年東北地方太平洋沖地震の691観測記録を対象とした適用例を示した.KL展開による正規直交基底を用いれば,3~6次元程度の部分空間で経時特性を概ね表現可能であることが明らかとなった.ただし振幅特性の変動が複雑な波形に対しては,より高次の情報を要する場合もあることもわかった.