日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
報告
脈動に着目したヤンゴン市内の常時微動計測
森尾 敏山田 義満金子 智之
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2019 年 19 巻 1 号 p. 1_105-1_120

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抄録

ミャンマー連邦共和国とその周辺地域は世界的に見て地震多発地帯である.最大都市ヤンゴンの東方約30kmには活動度の極めて高いサガイン断層があり,ミャンマー中央部を1500kmにわたり縦断している.一方,旧首都ヤンゴン市内には英国統治時代の20世紀前半までに建てられた多くの老朽化した建物が現存している.また,近年建設されている鉄筋コンクリート造,鉄骨造の事務所・商業ビル等には必須の耐震規準がなく,地震発生時には甚大な被害が予測される.著者らはヤンゴン市内の地盤の地震時増幅特性を調べることを目的として常時微動計測を行っている.ヤンゴン市はヤンゴン川とバゴー川の2つの大河の合流域に形成されており,地震基盤までの深い地下構造が想定される.このため,微動測定では深さ数十mの地盤特性を反映する1秒程度以下の比較的短周期域に加え,深さ数百mから数kmの深部地下構造を反映する長周期微動(脈動)にも着目した検討を行った.本報告では,ヤンゴン市北ダゴン地区で実施した単点(3成分)微動計測によるH/Vスペクトルとアレー観測によるレイリー波の分散曲線,および両結果に基づく深部地下構造推定について述べる.

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© 2019 公益社団法人 日本地震工学会
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