日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
19 巻 , 1 号
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論文
  • 石田 栄介, 磯山 龍二
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_1-1_20
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
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    本論では,2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の仙台市水道配水管網の被害について,管種,管径,地形等の要因の影響を定量的に分析する.特に造成地の被害については,詳細な切盛厚さ分布データを用いて,切盛厚さや切盛境界からの距離と被害との関係について分析を行った.その結果,地形の影響が最も大きく,造成地の被害が沖積低地の3倍ほどにもなっていた.また,造成地においては,盛土厚さ3~7m,切盛境界からの距離が10~20mの盛土側で最も被害が大きかった.また,被害率と地震動強さの関係については,管種・管径・地形等の要因と地震動強さを組み合わせた集計結果に対する一体的な回帰分析を試みた.これを踏まえることにより,標準被害率関数と補正係数との整合性が高い被害推定式を考案した.

  • 角田 功太郎, 五十田 博, 井上 涼, 森 拓郎, 田中 圭, 佐藤 利昭
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_21-1_33
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
    ジャーナル 認証あり

    2016年熊本地震において悉皆調査が実施された建物を対象に,2年後の調査を実施した.調査の目的は,被害レベル,建築年,構造種別などと2年後の使用状況の関係を定量化することである.益城町の調査範囲において,約半数が現存しないことがわかった.加えて,当然ではあるが,被災した建物の建築年が新しいほど,あるいは被災した住宅の被害レベルが低いほど,継続的に使用されている割合が高かった.また,継続使用されている建物であっても,そのうちの37%には補修が施されており,外観調査上は無被害と判定された建物でも補修されている例も多くみられた.建替え後の構造は84%が木造であり,階数は平屋建てが最も多く,71%を占めていた.

  • 徳光 亮一, 山本 優, 内山 泰生
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_34-1_52
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
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    千葉アレイ観測施設における観測記録およびK-NET,KiK-net観測点でごく隣接する観測点ペアの観測記録を分析することにより,地震規模,震源距離,表層の地盤構造が隣接地点間における地震動の空間変動に与える影響について評価した.地震観測記録のコヒーレンスおよびフーリエスペクトル比の標準偏差を分析した結果,地震規模,震源距離,表層の地盤構造はいずれも地震動の空間変動に影響する傾向が見られた.特に表層の地盤構造が空間変動に与える影響は大きく,地震動のS波速度が小さい地盤ほど変動が大きくなることを確認した.また観測点間の離間距離が大きくなるにしたがい,より深い地盤構造が地震動の空間変動に影響を与えることを確認した.

  • 保井 美敏, 飯場 正紀, 小豆畑 達哉, 井上 波彦, 田沼 毅彦, 山本 健史
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_53-1_67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
    ジャーナル 認証あり

    2011年東北地方太平洋沖地震の建物と地盤の観測結果に基づいて地盤が液状化したと考えられる記録とその前後および約1年後の記録を用いて建物と地盤の応答特性への液状化の影響を考察した.地盤と建物のスペクトル比を用いて,前震,本震,最大余震,その後の余震および1年後の観測記録により地盤の液状化の状況及び連成系卓越振動数の変化について検討した.本震及び最大余震時に連成系卓越振動数が低下し,最大余震以降の連成系卓越振動数は前震とほぼ同様な値に戻っていた.その結果,本震時の主要動部分で液状化が発生し,最大余震時の観測開始時刻ではまだ過剰間隙水圧が十分消散していなかったと推定された.

報告
  • 上林 宏敏
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_68-1_81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
    ジャーナル 認証あり

    2018年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震に対して,箕面市において独自に設置した地震計による強震観測記録を示すと共に,その周辺地点における各機関によって公表された記録と比較した.なお,箕面市における記録の一部にクリッピングが見られたため,提案した手法を用いて復元を行った.計測震度から推定した気象庁震度階級6弱相当及び擬似速度応答スペクトル(h=5%)のピーク値において100 cm/s程度を有する領域は,箕面市の萱野付近まで広がっている可能性を示した.箕面市に広がる地溝帯に起因すると考えられる地震動の特徴として,S波主要動部の直後に大きな振幅を持つ後続位相部が見られ,その東西成分が南北成分に比べて大きくなることをバンドパスフィルター波形とその粒子軌跡及びスペクトル分析から確認した.

  • 田村 良一
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_82-1_104
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
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    地震時におけるサポートの支持機能喪失(破断)が配管の耐震安全性に及ぼす影響を検討するために,複数サポートの中の一つが破断するような配管系試験体を用いて水平2方向地震動入力による振動台試験を実施し,支持機能喪失が配管の応答に及ぼす影響を検討した.さらに,支持機能喪失後の配管の地震応答予測のために,振動台試験の地震応答解析を実施した.その結果,サポート破断後には,配管の応答振幅の増大が計測されたが,破断後も応答は比較的安定して継続していた.サポート破断に伴う配管の応力分布の変化,縦方向配管の45度方向の応力について検討を加えた.サポート破断後の配管の応答予測手法として,破断するサポートを予め除いた解析モデルを用いた地震応答解析の有効性を示した.

  • 森尾 敏, 山田 義満, 金子 智之
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_105-1_120
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
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    ミャンマー連邦共和国とその周辺地域は世界的に見て地震多発地帯である.最大都市ヤンゴンの東方約30kmには活動度の極めて高いサガイン断層があり,ミャンマー中央部を1500kmにわたり縦断している.一方,旧首都ヤンゴン市内には英国統治時代の20世紀前半までに建てられた多くの老朽化した建物が現存している.また,近年建設されている鉄筋コンクリート造,鉄骨造の事務所・商業ビル等には必須の耐震規準がなく,地震発生時には甚大な被害が予測される.著者らはヤンゴン市内の地盤の地震時増幅特性を調べることを目的として常時微動計測を行っている.ヤンゴン市はヤンゴン川とバゴー川の2つの大河の合流域に形成されており,地震基盤までの深い地下構造が想定される.このため,微動測定では深さ数十mの地盤特性を反映する1秒程度以下の比較的短周期域に加え,深さ数百mから数kmの深部地下構造を反映する長周期微動(脈動)にも着目した検討を行った.本報告では,ヤンゴン市北ダゴン地区で実施した単点(3成分)微動計測によるH/Vスペクトルとアレー観測によるレイリー波の分散曲線,および両結果に基づく深部地下構造推定について述べる.

  • 能島 暢呂, 久世 益充, 高橋 幸宏
    2019 年 19 巻 1 号 p. 1_121-1_135
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/27
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    シナリオ地震動予測地図では,震源断層モデルのパラメータの不確定性を考慮して複数ケースについて予測されることが多い.そのばらつきの空間分布と空間相関を評価するため,筆者らは,複数ケースの地震動分布に特異値分解を適用してモード分解する方法を提案した.本研究では,逆断層2つ(石狩低地東縁断層帯主部12ケース,深谷断層帯12ケース)および左横ずれ断層2つ(山崎断層帯主部南東部4ケース,糸魚川-静岡構造線断層帯中北部8ケース)の4断層に提案手法を適用し,左特異ベクトルとして得られるモード形状を示した.各ケースの震源パラメータの設定条件および右特異ベクトルを参照しながら,各モードの支配的要因(モーメントマグニチュードの設定,アスペリティの配置,ディレクティビティ効果など)について比較・考察し,各断層の特徴を明らかにした.

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