2019 年 19 巻 1 号 p. 1_121-1_135
シナリオ地震動予測地図では,震源断層モデルのパラメータの不確定性を考慮して複数ケースについて予測されることが多い.そのばらつきの空間分布と空間相関を評価するため,筆者らは,複数ケースの地震動分布に特異値分解を適用してモード分解する方法を提案した.本研究では,逆断層2つ(石狩低地東縁断層帯主部12ケース,深谷断層帯12ケース)および左横ずれ断層2つ(山崎断層帯主部南東部4ケース,糸魚川-静岡構造線断層帯中北部8ケース)の4断層に提案手法を適用し,左特異ベクトルとして得られるモード形状を示した.各ケースの震源パラメータの設定条件および右特異ベクトルを参照しながら,各モードの支配的要因(モーメントマグニチュードの設定,アスペリティの配置,ディレクティビティ効果など)について比較・考察し,各断層の特徴を明らかにした.