日本地震工学会論文集
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論文
地盤との相互作用を考慮した倉庫建築物の積載物のSlide効果の解析的研究
今田 拓実山岸 邦彰
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2019 年 19 巻 4 号 p. 4_71-4_86

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抄録

物流量拡大により倉庫建築物の需要が増加している一方,物流コストの抑制と地震時の荷物の保全要請を背景として,倉庫建築物の建築コスト削減と耐震性能の向上に対する要求が高まっている.これらの要求に対して,地震時における積載物の滑動によって建築物や積載物の地震応答が低減する効果(以下,Slide効果と呼ぶ)は,一般的な設計では考慮されていないが,その考慮は制震効果に類似する合理的な設計に資する可能性がある.しかし,既往の研究では基礎を固定した条件下における実験および解析により,Slide効果が確認されているが,地盤と建築物との相互作用を考慮した場合の同効果については未解明である.そこで,本研究では試設計された大規模な3階建ての倉庫建築物を模擬した修正Penzien型モデルによる地震応答解析を実施して,自由地盤の応答と相互作用を考慮した場合のSlide効果について定量的に把握した.さらに,付加等価減衰定数を算出して,Slide効果を減衰定数に換算して評価した.これらの結果,相互作用を考慮しても基礎固定時と同等のSlide効果を期待できること,一般的な倉庫建築物であれば約6~9%程度の付加等価減衰定数を有していることを確認した.

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© 2019 公益社団法人 日本地震工学会
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