本報告では,沖縄諸島島嶼部におけるS波速度3km/s相当の地震基盤上面までの深部地盤モデルに関する情報提供に資するために,微動アレイ観測データを用いた解析を適用し,各地点で1~3層と地震基盤の1次元S波速度構造を推定した結果について記す.その結果,地震基盤上面までの深さは,沖縄島北部や西部,久米島などで0.2~0.4km,沖縄島南部で2.0~2.5kmとなった.また,速度構造の3次元数値モデル作成を視野に入れ,全地点の推定結果から,4層モデルとした場合の各層のS波速度の平均値(0.69, 1.10, 2.01, 3.46km/s)と層境界深度も提示した.このS波速度の平均値は,宮古・八重山諸島の結果と近い値となり,両諸島を含む広域の速度構造モデルの実現への方向性を示すこともできた.こうした島嶼部の深部地盤のS波速度構造の情報は,速度構造モデルの改良や地震動評価の精度向上に寄与するものと考えられる.
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