2019 年 19 巻 5 号 p. 5_170-5_183
地震時に発生する流動性崩壊の流下土砂は,飽和度が100%未満である場合が多く,メカニズムについて未解明な点が多い.不飽和土の力学挙動は,既知の通り間隙空気や間隙水の状態に応じてせん断強度や発生するせん断ひずみ等,せん断変形挙動が大きく影響を受けることから,メカニズム解明には水分状態と繰返しせん断変形挙動の関係について検討する必要がある.本研究では,空気連行剤(AE剤)を使用し強制的に土中の水分状態を変化・流動化させた不飽和土の繰返しせん断試験を実施し,その挙動を観察した.その結果,不飽和土の繰返しせん断変形挙動は土中の水分状態によっても影響を受け,一概に間隙中の水分量のみで決まるものではないことが分かった.