2019 年 19 巻 5 号 p. 5_399-5_408
東日本大震災は金曜日の午後に発生した.そのため,昼間人口の変動が激しい地域の人的被害の様相には特徴があると考えられ,仙台近郊のA町とB市の津波避難を分析した.その結果,A町,B市ともに昼間流入者の被災率が域内にいた市民の被災率の数倍に達していることが明らかとなり,特に津波ハザードの大きさに比べて犠牲者が多かったB市では流入者の多くが津波に襲われた低地の商工業施設や幹線道路上にいたことが影響したと考えられた.また,A町とB市では地形と道路状況ならびに津波被災経験に違いがありそれが住民のみならず流入者の避難の成否に影響していると考えられた.