2020 年 20 巻 6 号 p. 6_65-6_84
2019年に発生した山形県沖の地震を対象として,震度5強以上を記録した強震観測点周辺の被害調査を行った.その結果,いくつかの観測点周辺で外装材や瓦屋根の被害といった建物の軽微な被害は見られたが,全壊・大破といった大きな被害を受けた建物は見られなかった.観測された強震記録の性質と被害との対応について検討した結果,震度6弱以上といった大きな計測震度を記録したにも関わらず,大きな被害を受けた建物が見られなかったのは,計測震度に対応した周期1秒以下の短周期が卓越し,建物の大きな被害と相関がある周期1-1.5秒応答が小さかったためであると考えられる.また,瓦屋根の被害は複数の観測点周辺で見られ,特に村上市府屋震度計周辺で瓦屋根被害率は32.1 %に達していたが,これも発生した地震動が,瓦屋根の被害と相関がある周期1秒以下の短周期が卓越していたためであると考えられる.