日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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津波災害を対象とした市町村における図上訓練の実施方法に関する研究
久保 智弘鈴木 亘大井 昌弘高橋 成実浅尾 一巳吉岡 薫
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2020 年 20 巻 7 号 p. 7_158-7_176

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抄録

東日本大震災以降,津波防災において災害時の対応・対策の重要性がさらに増している.津波災害は低頻度災害であることから,事前の訓練は,重要な意味を持つ.そのため,住民を対象とした津波避難訓練や都道府県単位での図上訓練などが行われ,災害時における対応力の向上が継続的に実施されている.しかし,市町村の津波避難訓練では,防災担当者は訓練の準備や調整などの業務が中心となり,実働訓練を行う機会は少ない.また,実動訓練に比べて容易に実施できる図上訓練の重要性についても認識されているが,実際にはあまり行われていない.その理由として過去の津波災害対応の記録が少なくシナリオを作成する際に必要となる知識や情報が少ないことと,都道府県が実施しているような図上訓練を市町村がそのまま実施するのは規模や費用の面で難しいことが挙げられる.そこで本報では,千葉県をフィールドに市町の防災担当者が津波災害を対象とした図上訓練を行うため,ワークショップによる課題の把握を行い,シナリオ作りの要点と実施方法をまとめ,市町の防災担当者を対象として図上訓練を行った.さらに,鴨川市の災害対策本部訓練において図上訓練のシナリオを適用した.その後,実施方法や実施規模などの検討を行うとともに,図上訓練を通じて得られた新たな課題を把握した.

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