日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
報告
複数の地震における航空写真を用いた深層学習による建物被害判別モデルの開発
内藤 昌平友澤 弘充森 悠史門馬 直一中村 洋光藤原 広行
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 20 巻 7 号 p. 7_177-7_216

詳細
抄録

地震発生直後に被害状況を把握することにより災害対応を迅速化することを目的として,複数の地震における航空写真を用いて深層学習により木造建物の被災程度を自動判別するモデルを開発した.まず,兵庫県南部地震,東北地方太平洋沖地震,熊本地震前震・本震,北海道胆振東部地震の各地震直後に撮影された,撮影条件の異なる6種類の垂直航空写真を用いて,目視判読により建物の被災度を4段階に分類したデータを作成した.続いて,このデータを現地調査結果と比較した結果,被災度を3段階に設定した場合において各被災度の平均再現率が約74 %の精度を持つことを確認した.次に,各航空写真から建物1棟分の大きさに相当するパッチ画像を自動抽出し,目視判読に基づく被災度を付与した大規模な教師データを作成した.これらの教師データを用いて,畳み込みニューラルネットワークを適用することにより,従来よりも大量のデータを効率的に学習可能な建物被害判別モデルを構築した.さらに,このモデルによる判別結果を航空写真と重ね合わせ可能な画像として出力し,被害集中領域や3段階の被災度それぞれにおける被害棟数の推定が可能なプログラムを開発した.テストデータを用いて判別精度を検証した結果,従来モデルよりも高い判別性能を示したほか,学習データの選別や,撮影条件が異なるデータを同時に学習することによって判別性能が向上することを確認した.また,学習データとテストデータの組み合わせを空間領域で変化させた場合の被害判別精度を検証した結果,被災度3区分における平均再現率が約77%であり,教師データの空間分布は判別精度に影響しないことを確認した.さらに,6種類のテスト航空写真を用いて建物単位の被害判別をおこなった結果,被災度3区分における全体の平均再現率は約70%となり,地震動や建物構造の違いによる影響はあるものの,国内の木造建物については一定の汎化性能をもつことを確認した.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本地震工学会
前の記事
feedback
Top