2021 年 21 巻 4 号 p. 4_21-4_33
谷地や崖など,地盤構造が不整形な場所では地震動が局所的に増幅されることが知られている.関東南部には台地に低地が細く入り組んだ沖積谷が多く存在し,東北地方太平洋沖地震の際,谷地の中央部に位置する集合住宅において,杭が大破するといった被害が複数件発生している.本研究では,不整形な地盤構造が地震動に与える影響を把握するために,千葉県内の3か所の沖積谷を対象に地震観測および地盤調査を行い,沖積谷の地盤断面をモデル化し解析することにより地震動特性を検討した.解析によって得られた結果と,地震観測から得られた記録の比較を行い,面内(谷軸直角)方向,面外(谷軸)方向それぞれに見られた特徴を再現し,谷地形の地震動特性をある程度説明することができた.