本研究では,2016年熊本地震の熊本県益城町および宇城市における罹災証明データを統合し,推定地震動分布と組み合わせて,構造別・建築年代別の建物被害関数を構築した.相関係数はすべての分類で0.9前後の強い正の相関を示し,広範囲の地震動で熊本地震の実被害率を説明可能である高精度な被害関数が得られた.木造建物を対象として,既往の被害関数と比較を行ない,被害関数構築に使われた被害調査データの違いや地震が発生した地域の違いなどに基づき,予測結果の傾向の違いやその要因を考察して,本研究で構築した建物被害関数の妥当性について検証した.