2024 年 24 巻 4 号 p. 4_12-4_25
地震動の時刻歴データをベースとした確率論的地震ハザード評価に向けて,地震動の3成分加速度時刻歴データを直接生成可能な確率モデル構築を試みる.近年,深層学習を用いた生成モデルが,その性能の高さから大きな注目を集めている.本論文では,Generative Adversarial Networksと呼ばれる深層生成モデルを用いて,地殻内地震を対象とした強震観測記録の学習を行った.学習後のモデルが,マグニチュードや距離の条件と整合する地震動時刻歴データを生成可能であり,かつ観測記録の分布を近似した確率モデルとなっていることを示した.また,生成した地震動の分布が既往の地震動予測式と概ね対応することを示した.