2025 年 25 巻 11 号 p. 11_57-11_80
本論文では,はじめに,1989年から2024年1月までの日本で発生した地震を対象として,気象庁が公表している気象庁マグニチュードMJMAと防災科学技術研究所が公表しているCMT解の地震モーメントM0,あるいはそれを換算したモーメント・マグニチュードMWとの関係を改めて整理し,両マグニチュードが海溝型のプレート境界地震・プレート内地震では等しいのに対して,内陸地殻内地震についてのみマグニチュードにほぼ依存しない一定値の差があることを報告する.次に,これまでMJMAからM0を求めたり,震源断層長LからMJMAを求めたりする際に多用されてきた既往経験式との比較において,ここで提案する換算式がLに関するスケ-リング則においてどのような違いを生じせしめるのかを提示する.その上で,提案する換算式と既往の震源断層面積Sに関するスケ-リング則を組み合わせることにより,Lに関するスケーリング則を幅広いM0・MJMAの範囲で成立するように拡張し,それが最近の観測データとよく整合することを示す.