2025 年 25 巻 3 号 p. 3_20-3_39
震度7を発生させるような大振幅地震動がどのような場所で発生したかを整理することは意義あるものと考えられる.特に,重要建築物を建てる際に地震被害のリスクを下げるためには,大振幅地震動が発生しにくい場所の選定が重要である.本報告では,過去に震度7が発生している場所に着目し,震度6強が得られている地点との比較により,M7クラスの内陸地殻内地震に対して,AVS30(地表から深さ30 mまでの平均S波速度),RJB(震源断層の地表投影面からの最短距離),微地形区分を指標として震度7が発生しやすい場所を整理した.その結果,以下の3要件全てを満たせば,震度7になる可能性があることを示した.①AVS30が500 m/s以下であること,②RJBが2 km以下であること(ただし断層端部は2 km延長する),③微地形区分が埋立地でないこと.またM7クラスでは地震規模Mが大きくても,震度6強や震度7がとりうる範囲の最大RJBが大きくならないことを強震記録から確認した.