2026 年 26 巻 2 号 p. 2_136-2_149
断層変位によって構造物が損傷すれば機能喪失に至るおそれがある.ハザードとしての断層変位を照査する確率論的断層変位ハザード解析(PFDHA)の従来の枠組みでは,主断層からの距離に基づいて副断層の特性を評価する.近年,遠方での断層変位の減衰特性を把握するため,地表地震断層を主断層と副断層に分類することなく,地下にある震源断層からの距離を用いて従来型の断層変位予測式を改良した新たな予測式が提案された.これは国内で初めて特定の構造物を対象とする本格的なPFDHAを実践した四国北西部の伊方サイトで抽出された課題の多くに取り組む足掛かりとなるものである.本研究では,震源断層からの距離に基づく予測式を取り込んだPFDHAを伊方サイトで実践し,新たな予測式の特性や伊方サイトでの検討から得られる知見について考察して報告する.