2026 年 26 巻 2 号 p. 2_122-2_135
東北大学構内の在来構造と免震構造のRC造建物が並立する免震実証棟で記録された2011年東北地方太平洋沖地震の公開デジタル波形を用いて,これらの建屋内の波動伝播時間などをCERS法で計測し物性値変動を分析した.建屋内の波動伝播時間は在来と免震とで異なり,短辺方向では,地震継続中,免震建屋でも伝播時間が増大,在来建屋ではさらに顕著に増大しその相違が次第に大きくなる.免震建屋の長辺方向ではやや増加した後安定しているが,在来建屋では次第に増大する.いずれも短辺方向で影響が大きいことが伺えるが,在来建屋にくらべて免震建屋の伝播時間の増大ははるかに少なく,減衰定数も在来建屋では6%~8%であるのに対して免震建屋では概ね2%程度と異なる.免震建屋では被害はほとんどなく在来建屋では外壁パネルが損傷し柱梁も損傷したと報告されており,計測された物性値変動はこれに対応する.免震建屋の高減衰積層ゴムの挙動についても議論した.