本研究では地震による資産損失リスク評価の精度向上を目的として, 一部損に着目した建物被害関数を構築した.具体的には, 損害保険料率算出機構が公表した市区町村単位での被害率データを活用して, 罹災証明に基づいた「一部損壊」の建物被害関数を調整することで, 「一部損」の被害関数を構築した.構築した一部損の被害関数を活用して首都直下地震の建物損失額を試算すると, 被害総額は約22.2兆円と推定され, そのうち約6.7兆円以上が一部損による建物損失額と推定された.この試算結果より, 一部損のような軽微な建物被害であっても, 金額ベースでの建物損失リスクに大きな影響を与えることが示された.