抄録
本研究では、アメリカカリフォルニア州の建物で記録された強震観測記録を用い、建物内での地震動増幅度の傾向を調べるとともに、建物を等価1 質点系でモデル化し、建物階数、構造種別、建物の塑性率などを考慮して地震動増幅度を推定する経験式の構築を行った。地震動の強さを示す指標としては、計測震度に加えて、最大加速度と最大速度を用いた。1 次モードが卓越している場合は、地上から頂部まで震度増幅は線形増加、加速度、速度増幅は指数関数的な増加になる傾向がある。建物が共振するTf /Te=1 付近では増幅度は最大となり、その値は、建物の階数に関係なく建物頂部で震度増幅は1 前後、加速度増幅、速度増幅は3 前後となる。構築した加速度・速度・震度増幅度の経験式は観測記録の傾向を概ね説明できている。この経験式を用いて、地表面での地震動情報から建物内での地震動強さを迅速に推定することが可能となる。