原子力発電所では使用済み放射性廃棄物の貯蔵容量が不足しており、それらを一時的に保管する貯蔵施設の建設が計画されている。この貯蔵施設において、使用済み放射性廃棄物は、キャニスタと呼ばれる容器に収納され、そのキャニスタはキャスクと呼ばれる自立した円筒状の容器に収納される。一般的に、キャスクは水平な地盤に固縛されずに自立して設置されることから、キャスク-キャニスタ系は、自立する二重構造体とみなすことができる。したがって、地震時には二重構造体が大きなすべり運動を生じることが懸念されている。地震動に対するキャスクのすべり量を低減するために、キャスクとキャニスタとの隙間に液体を封入し、その液体の付加質量を利用した制振方法を提案し、その制振効果を評価する。本研究では、解析において、キャスクおよびキャニスタは、互いにばねおよび減衰器で連結される剛体として取り扱う。