抄録
これまで、大きな地震が発生するたびに、河川堤防の被害が報告されている。これは、自然に形成されてきた河道を改修してきた治水事業の歴史的要因によるところも多く、河川堤防の主な目的である洪水防御機能を優先し、基礎地盤の土質工学的な検討に基づいて構築位置を選び、地盤改良を行うなどの、耐震対策がさほど行われてこなかったことも一因である。しかしながら、河口近くの下流部周辺には都市域が発達していることが多く、地震に伴い津波や高潮の襲来する危険性も大きいことから、河川堤防の耐震性向上の必要性が高まっている。1995年兵庫県南部地震では、堤防直下の地盤が液状化したことによる、堤体の沈下や変形が多く見られた。過去に発生した1964年新潟地震、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震においても、河川堤防で様々な被害が報告されている。信濃川中流域は、厚く堆積した沖積砂層地盤上に、河川堤防が構築されており、液状化による被害が想定される。本研究では、信濃川中流域を対象として2次元有効応力解析プログラムLIQCAにより、過去の被害事例の再現を試み、河川堤防の被災メカニズムの推定を行った。さらに、1964年新潟地震、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震の推定地震動波形を用いて、地震動の継続時間や加速度振幅の大きさが、液状化発生による河川堤防の被害にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。その結果、液状化に伴う河川堤防の変形は、地震動の加速度振幅だけではなく、地震動の継続時間にも大きな影響を受けることを明らかにした。