抄録
地盤・建物系の詳細な振動観測を通じて明らかにすべき構造物の動的特性を整理し、150 以上の建物における常時微動、振動実験、強震観測の結果に基づいて、地盤と建物の動的相互作用特性などに影響を及ぼす要因を限られた観測を適切に組み合わせて系統的に明らかにする観測方法を提示する。これを本論では戦略的強震観測と呼ぶ。また、観測の計画・実施・分析・データ整理などに当たって必要となる諸点について検討を加え、特に中低層建物を対象として、建設中の建物の特性変化に着目した動的相互作用の検討や、地震計の設置条件による計測震度への影響などについて示している。また、観測に用いる機材やデータ公開に関する知見も示している。これら一連の成果により構造物の振動観測で留意すべき項目をまとめたものである。