経済地理学年報
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テクノポリス政策の評価 : 開発指標からの一考察
塚原 啓史
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1994 年 40 巻 3 号 p. 220-228

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抄録

1983年にテクノポリス法が成立し, 現在までに26の「テクノポリス」地域が誕生している. このうち, 1990年を第1期開発計画の目標年とした先発地域を中心に, その実績を開発指標から評価すると, 通商産業省が評価するほど「順調」に進展してはおらず, 次のような大きな問題がある. (1)計画目標の達成状況からみると, 計画目標を達成した地域が非常に少なく, しかもその達成率がかなり低かった. (2) 「最低クリアすべきハ一ドル」としての全国平均値との比較からみると, 全国平均値を上回っている地域は各指標とも約6割程度であった. (3)高付加価値化の推進からみると, 高付加価値化を進展させた地域はほとんどなかった. また, 期待した先端技術産業の多くは, 高付加価値化の推進に寄与しなかった. (4)定住化の観点からは, 定住化が進展している地域もあるが, 人口の停滞や減少を起こした地域が多い. 今後は, 第1期開発計画の適切な評価と反省に立って, 不十分な支援施策の改善や真に地域が自主的に活動できる体制の確立などの大きな変革が必要である.

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© 1994 経済地理学会
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