人口減少社会かつ急速な高齢化社会に突入したわが国では,戦後の基調であった右肩上がりの社会システムにさまざまな疲弊が顕在化している.その一つに中心市街地の活性化・再生問題がある.全国の中心商店街の多くがシャッター通りと化し,「コンパクトシティ」や「まちづくり」のキーワードの下で地域の実情にあわせた数多くの試みがなされているが,未だ模索状態である.本稿では,中心市街地の活性化・再生に焦点を合わせ,中心市街地の現状,まちづくり三法と大型店の立地との関連をふまえた上で,衰退の著しい佐賀市を事例に,中心市街地活性化基本計画によって生み出されたTMOの役割を検討し,中心市街地の今後の役割を提示することを試みる.中心市街地の再生という課題は,現在の逼迫した財政状況下では単に中心市街地にとどまらず,地域全体の解決すべき根本的な課題である.また人口減少にともなう少子・高齢化やライフスタイルの多様化に対応した課題も垣間みることができる.コミュニティの変化に応じていくための新しいコミュニティの在り方を,中心市街地の再生を通して地域づくりの中で構築していく必要があろう.