抄録
地産地消やスローフード論,さらに食育やグリーツーリズム,エコツーリズムも農産物や農村技術の販売戦略として注目されている.しかし,最近の地域振興で議論されているこうした地産地消,食の安全・安心,食育,農村ツーリズム自体は,農村や農業が生み出してきた地域文化や地域の知恵といった使用価値的性格の強いものである.それが,現在みるみるうちに注目され,商品化され,地域農業振興の有力な手法として祭り上げられている.まさに地域文化の交換価値側面が強調され,商品化されている.現代資本主義社会において,商品化されないものはない.その意味で,食文化(地域文化)が商品化されていくのは社会の深化の過程でやむ得ないものであるが,過剰に交換価値的側面のみが強調されると地域文化そのものの使用価値もマニュアル化され,陳腐化されてしまい,結果的に交換価値もうせてしまう危険性がある.