経済地理学年報
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「都市のスポンジ化」を論じる地理学的な意味
竹中 克行
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2021 年 67 巻 2 号 p. 130-134

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抄録

    2020年度経済地理学会岐阜地域大会シンポジウム「都市のスポンジ化への抵抗」において,荒木俊之,久保倫子,富樫幸一の3 人が行った報告を受けて,同シンポジウムでコメントを担当した立場から,「都市のスポンジ化」を論じる地理学的な意味について3 つの論点に即して考察した.第一に,スポンジ化の概念について,学術的な使用履歴の浅い用語であり,分析概念としての実質をもたせるには,空き地・空き家の発生メカニズムの考究が欠かせないことを指摘した.第二に,長期的な都市変化との関係において,コンパクトシティを目標像として個人や企業の選択を束ねる大きな方向転換を導き出すことの難しさについて述べた.最後に,都市計画学における立地適正化関連の研究実践にふれながら,地理学からの積極的な提案が期待される取組みとして,領域横断的連携への支援と地域文脈に即した政策立案を提示した.

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© 2021 経済地理学会
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