経済地理学年報
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特集論文
国籍別にみる日本留学の多様性
──私費外国人留学生生活実態調査の二次分析──
松宮 邑子
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2026 年 72 巻 1 号 p. 2-25

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抄録

 留学生留学生30万人計画をはじめとする誘致策の展開によって,日本における留学生の増加は,対象の拡大や在籍課程また出身国の多様化など中身の多様化と並行して進んできた.しかしながら政策や社会一般において,留学生の多様性は看過される傾向にある.こうした現状に向き合うべく,本稿では留学生の多様な属性のうち出身国に焦点をあて,私費外国人留学生生活実態調査 (2019年度) の個票の集計を通じて,各国からの留学生の特性を描き出すこと,とりわけ日本が留学生に期待する将来的な労働力としての活躍の実際を問うことを目指した.日本留学の発意から留学終了後の意向までを段階的に見ていくと,そもそもの留学目的が留学を社会的上昇の手段と捉えるような学歴志向か,稼得の機会と捉えアルバイトに注力するような就労志向かによって,在籍過程や留学期間の過ごし方に差異があらわれる.一方で卒業後の進路の描き方,とりわけ帰国の意志には,経済的な側面に起因する理由よりも各々の文化的な価値観や心情が強く作用する様子がうかがえる.これらの分析からは,留学生の属性や留学の意義が多様であることの一端とともに,留学を通じて描き出されるライフコースの多様性の可能性が国籍ごとの特性を以て見出されることが示された.

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