2023 年 84 巻 1 号 p. 29-34
今回,われわれは浸潤性乳管癌術後に後腹膜転移が指摘された症例を経験したので報告する.症例は62歳,女性.乳癌手術歴があり,腫瘍マーカー上昇の精査目的に撮影したCT上,両側水腎症を指摘された.両側水腎症に対し,両側尿管ステント留置を行ったが,まもなく吐き気と下肢の浮腫を訴えた.精査にて十二指腸,下大静脈の狭窄が認められた.後腹膜に明らかな腫瘤を認めなかったが,乳癌転移再発を疑い,開腹後腹膜生検,胃空腸バイパス術を施行した.組織学的検索で,乳癌後腹膜転移と判明した.化学療法を予定していたが,開腹術より1カ月後に強い頭痛を訴え入院となり,髄膜癌腫症の診断を得た.著明なQOL低下のため,緩和的加療方針となり,開腹術より2カ月後に永眠した.乳癌の後腹膜転移は稀であるが,乳癌既往のある患者では念頭に置いておくべき病態と考えられる.