2026 年 72 巻 2 号 p. 254-264
わが国では人口減少がいよいよ本格化するとともに,長年にわたり人口の東京圏一極集中が継続している.近年の各地域における人口減少の主因は自然減であることから,長期的な人口減少は不可避であり,今後は全域的に人口減少を前提とした地域社会の構築が不可欠である.一方,東京一極集中の要因に関しては,主に経済的な観点から指摘されることが多いが,親世代も含めた東京圏出生割合の上昇という人口学的要因も大きく影響していると考えられ,その意味で東京圏一極集中は根深い問題であるといえる.防災面などをはじめとして,一極集中のデメリットはこれまでも多く指摘されてきたが,それらに加え東京圏においては出身地属性からみた多様性の低下も近年のイノベーションの停滞に関連していると考えられる.反面,地方圏においては人口が減少していくなかでも総じて住民属性の多様性は増しており,Iターンの報告事例がとくに目立つ中国・四国地方において独自の地域活性化の試みが多くみられるのも,住民属性の多様性と無関係ではないと思われる.このような観点に立てば,非東京圏においても強力に人口流出を止めようとする対策よりはむしろ,大都市圏からのIターンを喚起する方策や,一度域外に流出したとしてもUターンしてもらいやすい環境を整備することなどが求められるといえよう.