抄録
本研究では,災害時において,その教師の「職業的使命感」は統制の効かない状況における「多忙感」を凌駕するのではないかという仮説を立てた。そして,熊本地震において教員が果たした役割をモデルとし,非災害地域の教員の「使命感」「多忙感」との比較調査を行うことによって,災害時における教師の職業的使命感の実態を明らかにすることを目的とした。そこで本研究では,熊本地震において被災した学校に勤務する小学校教員26名と,非災害地域として,関西圏の小学校教員47名の計73名との比較アンケート調査を実施した。その結果,使命感に関しては,被災の有無にかかわらず高い使命感を有している反面,被災を経験した教員において,多忙感や内的統制感の高さが,自らの存在価値や意欲の高まりにつながっていない実態が明らかになった。