抄録
本研究は,大学教育における学生による自己評価へのルーブリックの活用に関する研究動向を概観し,その活用状況と活用した結果にみられた影響と課題について明らかにすることを目的とした。 その結果,ルーブリックを自己評価に用いた影響については,「授業の目標を理解する」,「学習へと動機づける」,「資質・能力の向上」,「教員が学生を理解する」の 4点,課題については,「ルーブリックの改善」,「ルーブリックの活用」,「対象の拡大」の 3点に整理することができた。また,それらを先行研究と比較して検討した結果,ルーブリックを評価の道具としてだけではなく,学習をより効果的なものとするための学習材として活用していく 必要性が示唆された。そのためには日々の授業においてルーブリックを活用し,それ自体とその用い方を検討していくことが,学習材としてのルーブリックの可能性を広げていくことにつながると考えられる。