2007 年 7 巻 p. 13-22
本研究の目的は、教育者としての評価が高い看護教員Mの自己効力感を明らかにし、Mの自己効力感がどの様に教育活動に反映し、学生に影響を与えるかを明らかにすることである。Mの教育活動として、Mが行った講義の内容を分析した。学生に与えた影響については学生がMの講義をどう感じたかを分析した。調査対象者は看護教員Mと看護学生44人であった。結果、学生の自己効力感の相違により、捉える視点に違いは認められたが、自己効力感の高い看護教員が行う講義はどのような自己効力感の学生にも肯定的に捉えられた。またMの自己効力感は、自分にはどんなことでもできるといった自信ではなかった。何らかの苦境に出会ったときには、自分自身を振り返り反省し、うろたえさわがず、さりげなく、片ひじ張らずに、その苦境を切り抜けていけるユーモアの感覚であった。これが看護教員に必要な自己効力感のひとつのモデルであると論じた。