抄録
本論文では,長野県内公立高校における生徒の暮らす信州を題材とした探究的な学習において地域経済分析システム「RESAS」を活用した学習(以下,RESAS活用学習)の効果を明らかにすることを目的とする.具体的には,RESAS活用学習を計画して実践を行い,実践終了後の質問紙調査の結果に対して探索的因子分析と因子間相関分析により,RESAS活用学習の与えた効果を統計的に分析した.その結果,RESAS活用学習全体を通して,地域のことに興味・関心を持って取り組み,自分が難しいと感じたことはわかるようになるまで挑戦しようとし,最後まで一生懸命取り組むようになる可能性が示唆された.そして,RESAS活用学習は,「学びに向かう力」,「ICT(情報)を活用した学習」,「対話的(家庭・地域)な学習」,「信州学の授業内容に対する評価」,「対話的(友だち・先生)な学習」,「地域を理解しようとする姿勢」の因子から構成され,これらが効果を与えていることが明らかになった.