2007 年 27 巻 3 号 p. 503-506
55歳の女性。発熱・黄疸を主訴に来院。血清ビリルビン値とトランスアミナーゼ値の上昇, および腹部CT検査で, 胆道気腫と胆嚢壁の著明な肥厚を認めた。緊急内視鏡的胆道ドレナージを行い, 総胆管結石を認めたが, 胆嚢は描出されなかった。上部消化管造影検査で胃前庭部に瘻孔形成を認めた。術中に胆嚢は同定できなかった。胆嚢と考えられた部位の迅速病理診断で黄色肉芽腫性胆嚢炎が強く疑われたが, 胆嚢癌との鑑別は困難であったため, 拡大胆嚢摘出術, 肝外胆管切除術に加え, 幽門側胃切除術を施行した。再建は肝管空腸吻合および胃空腸吻合とした。病理組織学的診断は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった。摘出標本で胆嚢内腔から胃前庭部前壁への瘻孔形成を認めた。黄色肉芽腫性胆嚢炎は比較的まれな疾患で, 胃壁と瘻孔を形成した報告は1例のみであった。