Press-through-package (PTP) 誤飲による非穿孔性腹膜炎の1例を経験した。症例は70歳, 男性。腹痛を主訴に来院した。腹部CTにて小腸内異物と腸間膜脂肪織の混濁所見を認めた。約24時間厳重に経過観察したが, 改善傾向なく, 開腹術を行った。腹腔内には, 広範囲の癒着があり, これを剥離すると, 小腸に多発する漿膜面まで達する非連続的な激しい炎症を認め, 回腸末端近くの異物を認めた。回腸の一部を開放してPTPを摘出し, 脆弱な小腸壁を補強した。術後経過は良好であった。PTPによる小腸異物においては, 一定期間の経過観察後にも臨床所見に改善がなく, 画像にて異物の移動が認められない場合は, 保存的治療に固執することなく早急に開腹術を行うことが重要と考えられた。